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蒸気用減圧弁

 

蒸気を減圧するには

蒸気を使用する場合、必要な圧力ごとに蒸気を発生させるのではなく、ボイラーで高圧の蒸気を発生させておいて、その蒸気を生産物や用途に応じ、圧力を下げて使用します。圧力を下げる主な目的は、蒸気温度を下げて希望の加熱温度にするためです。高圧蒸気の圧力を所定の圧力へ下げる操作を減圧と言います。蒸気を減圧する方法等については蒸気の減圧をご参照ください。

一般的に減圧操作には減圧弁が使用されます。蒸気が管内を流れるとき、蒸気が流れる通路を絞ると絞り以降の蒸気圧力が低くなります。これが蒸気の減圧です。単に絞るだけなら、バルブを半固定にしたり、オリフィスプレートを通過させたりすれば良いと言えそうですが、この方法では流量が変わった場合に圧力も変わってしまうという欠点があります。そこで、流量や一次側圧力が変わっても二次側の圧力が変動しないように、自動的に弁開度が変化するよう工夫されたバルブが減圧弁です。

 

減圧弁の優れた点

自動的に弁開度を変化させて圧力を一定に保つ制御は、汎用の制御弁でも圧力センサー、調節計を合わせて使用することによりもちろん可能ですが、減圧弁は動力等を使うことなく、自力で純機械的に圧力制御を行える点が優れています。また、減圧弁内部で機械的に圧力を検知して作動するため、動きが非常に俊敏であることも特長です。

 

蒸気用減圧弁の種類

減圧弁における圧力の自動調整機構には、蒸気圧力によって生じる力と調整ばねによる力の釣り合いが利用されています。ここまでは全ての減圧弁に共通ですが、弁開度を変化させる機構には、以下2種類の方式があります。

  • 調整ばねの伸び縮みによって弁開度を直接変える → 直動式
  • 蒸気の力で弁開度を変える → パイロット式

各機構の一般的な特徴は以下の通りです。

直動式
長所小型軽量、安価、構造が単純。
短所使用可能な流量範囲がパイロット式に比べて狭く、流量や一次圧力が変化すると二次圧力が設定圧力から外れる現象(オフセット)が起こりやすい。
作動アニメーション : 二次側圧力が低下した場合
  • 二次側圧力が低下すると、ベローズを介して圧力調整用の大きいコイルバネにかかる力が弱くなります。
  • その結果、ばねが伸びてメインバルブを押し下げます。
  • メインバルブの弁開度が増すことで圧力が回復(上昇)します。

「二次側圧力が低下した場合」以外のケースは、作動アニメーション:直動式減圧弁 DR20をご覧ください。

パイロット式
長所使用可能な流量範囲が広く、流量や一次圧力の変化によって二次圧力が変動する現象(オフセット)が起こりにくい。
短所直動式に比べ大型、高価、構造が複雑。
作動アニメーション : 二次側圧力が低下した場合
  • 二次側圧力が低下すると、ダイヤフラムを介して圧力調整用の大きいコイルバネにかかる力が弱くなります。
  • その結果、大きいコイルばねが伸びてパイロットバルブを押し下げます。
  • パイロットバルブの弁開度が増すことで、ピストン上面へ流入する蒸気流量が増加します。
  • これにより、ピストンが押し下げられてメインバルブの開度が増し、圧力が回復(上昇)します。

「二次側圧力が低下した場合」以外のケースは、作動アニメーション:蒸気用減圧弁 COSRシリーズをご覧ください。

直動式は、メインバルブの弁開度の変化(弁のストローク)が調整ばねの伸び縮みで直接決まるため、あまり大きな変化量を確保することができず、オフセットが起こりやすいのが難点です。

パイロット式では、メインバルブの弁開度を変化させる力として蒸気圧力を使います。蒸気圧力を調整するバルブをパイロットバルブといいます。パイロットバルブ自体の移動量ではなく、蒸気の力でピストンを上下させてメインバルブの開度を変化させるため、変化量を大きく取ることができます。これにより、パイロット式はオフセットが起こりにくいというメリットがあります。

 

減圧弁の使い分け

これらの特長から、直動式減圧弁とパイロット式減圧弁は使用目的・用途が明確に分かれていると考えて良いでしょう。蒸気輸送管では設備の稼働状況によって蒸気流量が大きく変わります。また、個々の装置でもスタートアップ時と定常状態で、蒸気の使用量が大きく異なります。

このように、蒸気流量の変動幅が大きい条件には、パイロット式減圧弁でないと対応できません。このため通常、蒸気用の減圧弁と言えばパイロット式が一般的です。 一方直動式は、小型で軽量という特長を生かし、負荷変動の小さい小型の装置に組み込む場合などが適しています。

それぞれの特徴を理解して、適切に使い分けましょう。