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その他機器など

セパレーター

 

セパレーターにも色々あります

世の中にはセパレーターと呼ばれる機器や部品は数多く存在します。例えば、ボイラーの水位検知に用いる電極が相互に接触しないよう距離を保つ碍子(がいし)の一種や、気体から粉末等の個体を分離する機器などもセパレーターと呼ばれます。

このように色々なセパレーターがありますが、ここでは配管中を流れる気体から液体を分離するセパレーターについて考えます。

 

セパレーターの役割

配管内の飽和蒸気は輸送途中の放熱でその一部が凝縮し、ドレンになります。放熱をゼロにすることは現実的にできませんので、ボイラーで生成された蒸気を輸送する過程でドレンの発生を避けることはできません。圧縮空気輸送配管では、露点以下の温度になると結露しドレンが発生します。これらのドレンは、装置の加熱効率の低下や生産物の品質低下、作動トラブルを招く可能性があるため、ただちに排除しなければなりません。

ドレンの強制分離を行うのがセパレーターです

ドレン排除のために、輸送管にスチームトラップやエアトラップを設置しますが、それだけでは不十分な場合があります。蒸気や圧縮空気の輸送配管内のドレンは、気相部分と完全に分離して管底を流れているわけではないからです。その一部は、輸送配管内を毎秒30m程度の流速で流れる蒸気や圧縮空気に巻き込まれ、飛沫状になって飛んでいます。

ドレンの強制分離を行うのがセパレーターです


ドレンの強制分離を行うのがセパレーターです


ドレンの強制分離を行うのがセパレーターです

トラップには自らドレンを集めたり、飛んでいる水滴を強制的に分離する機能が無いため、この状態でトラップがドレンを排除するのは困難です。このようなドレンを排除するために、ドレンの強制分離を行うのがセパレーターです。

ドレンの強制分離を行うのがセパレーターです

 

セパレーターの仕組み

ドレン強制分離のためのセパレーターは、蒸気や空気輸送配管を切り込んでインラインに設置します。そして蒸気や空気を常時通過させて使用します。ドレンを分離するメカニズムは様々で、邪魔板やメッシュに気相も液相もぶつけて液相部分を滴り落とす方法や、気相と液相の比重量差を利用した遠心力を用いる方法などが代表的です。

セパレーターのドレンを分離するメカニズム

邪魔板式やメッシュ方式では、液相部分を減らすことはできても十分に分離したと言えるだけの分離効率が得られません。そこで、当社のセパーレーターでは、比重量差を利用し遠心力で水滴を分離する方式を採用しています。水滴分離方式の具体的なメカニズムは次の通りです。ドレンを含んだ流体がセパレーターを通過する際、円筒+羽根により流体がらせん旋回を起こします。このとき混在しているドレン水滴に遠心力が働いて外側に吹き飛ばされ、気相部分とドレン水滴とが強制的に分離されます。吹き飛ばされた水滴はセパレーターの内壁面を伝って重力で下方へ移動します。一方、水滴と分離された気相部分は、本体中心部から二次側へ流出していきます。

セパレーターのドレンを分離するメカニズム

 

セパレーターの用途

最も代表的な用途としては、水滴分を除去した蒸気や空気を供給するため、蒸気や空気を直接吹きかけて使用する設備の直前に設置されます。

蒸気分野では、蒸し工程やゴム製品の加硫工程、スチームアイロンなど、空気分野では塗装用スプレーガンやエアブローなどがあてはまります。

吹きかけではなくても、水滴の有無が大きく影響する用途としては、エゼクターの駆動流体としての蒸気や、過熱蒸気を作るヒーター(過熱器)へ投入する蒸気などがあります。これらの用途では、直前で水滴を分離することで効率アップや省エネが図れます。

輸送気体によって高速で飛ばされる飛沫ドレン水滴は、配管を傷める原因にもなります。セパレーターによるドレンの強制分離・除去は配管や装置のエロージョン対策としても有効です。

また、分離対象を飛沫ドレン水滴に限定して捉える必要はありません。確実にドレンを分離排除できるため、蒸気輸送配管のウォーターハンマー対策としても効果があります。

 

選定上の注意

セパレーターは過大流量で使用すると分離効率が低下します。単純に既設配管径に合わせず、効率よく分離するための条件を逸脱しないよう、選定することが必要です。圧力損失も許容値以内に収まるかどうかチェックしましょう。

セパレーターにはトラップを内蔵したものと、内蔵していないものがあります。トラップを内蔵していないものでは、別途トラップを設置しなければなりません。

蒸気用サイクロンセパレーター(トラップ内蔵)

蒸気用サイクロンセパレーター(トラップ内蔵)

別途トラップを設置した配管例

別途トラップを設置した配管例

設置場所や用途によっては、かなりドレン量が多い場合もありますので、そのような場合は内蔵トラップにこだわらず、ドレン量に見合ったトラップを選定し、別途設置することが重要です。