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スチームコンプレッサー

 

低圧蒸気・廃蒸気の使い道

スチームトラップが排出するドレンの一部が再蒸発したフラッシュ蒸気。これを有効に活用することは、省エネルギーに繋がります。

フラッシュ蒸気の代表的な利用方法はフラッシュタンクを用いるものです。スチームトラップから排出されたドレンをタンクで受け、タンクでフラッシュさせた蒸気を低圧の系統へ接続して使用します。

ここで重要なのは、フラッシュ蒸気の圧力は自由に決められないことです。フラッシュタンク上流側に設置されているスチームトラップが所定のドレン量を排出できる差圧は、必ず確保されなければなりません。

フラッシュ蒸気は再蒸発蒸気とも呼ばれ、高圧高温のドレンが低圧の雰囲気に晒されたときに発生します。フラッシュ蒸気はフラッシュ蒸気でも説明しています。

フラッシュ蒸気だけでは圧力が低すぎて使用できない

しかし、スチームトラップのドレン排出能力を考慮してフラッシュ蒸気圧力を決定した結果、「フラッシュ蒸気は発生するが圧力が低すぎて使い道がない」というミスマッチも起こり得ます。例えば、0.2MPaGの圧力なら利用できるが、フラッシュ蒸気の圧力は0.1MPaGが最高であり、これでは使い道がないので結局大気へ放出・・・となるケースです。この場合、0.1MPaGの蒸気を0.2MPaGに昇圧することができれば、蒸気を無駄にすることなく活用できます。

フラッシュ蒸気だけでは圧力が低すぎて使用できない

 

低圧蒸気の圧力を上げるには?

では、どのようにして圧力を上げればよいのでしょうか。空気圧力を上げる場合は機械的に加圧するコンプレッサーが一般的ですが、蒸気用の機械式コンプレッサーというのはあまり存在しません。また、蒸気に熱を加えるだけでは過熱蒸気にはなっても、圧力は上昇しません。

高圧の蒸気と低圧の蒸気を混合する方法はどうでしょうか。高圧の蒸気配管と低圧の蒸気配管を単純に接続すると、高圧蒸気が低圧配管側にどんどん侵入します。低圧側から見れば高圧蒸気の逆流ですから、装置のドレン排出に悪影響が出てしまいます。

 

エジェクターを使った高圧・低圧蒸気の混合

高圧・低圧それぞれの系統の圧力を維持したまま混合するのに利用されるのがエジェクターです。エジェクターは英語のejectorをカタカナ表記したもので、エゼクターとも表されますが、ここでは英語の読みに近いエジェクターと表記します。エジェクターは高圧蒸気を駆動流体として、低圧蒸気を吸入し混合します。

エジェクターの原理

エジェクターの原理

エジェクターを使って高圧・低圧蒸気を混合した場合

エジェクターを使って高圧・低圧蒸気を混合した場合

エジェクターというと、真空を発生させるポンプの一種として認識されている方も多いと思います。実際、真空ポンプとして使用するエジェクターも、スチームコンプレッサーも構造は全く同じです。

エジェクターの駆動流体も吸入流体も蒸気とすれば、吐出される気体は当然蒸気であり、この吐出蒸気圧力に着目したエジェクターが、スチームコンプレッサーです。

 

スチームコンプレッサーの効率とは

スチームコンプレッサーの性能を評価する指標の一つに「吸入比」があります。これは、吸入する低圧蒸気1に対して、駆動蒸気量が何倍になるかという比率を表します。駆動蒸気圧、吸入蒸気圧、吐出蒸気圧が同じ条件の時に吸入比が小さいものほど効率が良いと言えます。

吸入比が大きいと、目的の圧力を得るための駆動蒸気を多く使い、吐出される混合蒸気量も多くなります。その結果、蒸気を使い切れずに捨ててしまうというロスに繋がりやすくなります。

そのため、導入を検討する際には吐出蒸気(中圧蒸気)を使い切ることができるだけの需要があることを正確に把握し、変動要素も含め確認しておくことが重要です。