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減圧弁の外部圧力検出

 

内部検出と外部検出

自力式減圧弁とは設定した二次側圧力が維持されるよう、自動的に弁開度を調整する弁です。何らかの形で二次側圧力を検出しフィードバックして圧力調整動作を行っています。自力式減圧弁の一種であるパイロット式減圧弁では、その圧力検出方法には内部検出と呼ばれる方法と、外部検出と呼ばれる方法の二種類があります。

内部検出方式

減圧弁内部の経路を用いて、二次側圧力を検出する方式

パイロット式減圧弁の内部検出方式(減圧弁内部の経路を用いて、二次側圧力を検出する方式)

外部検出方式

減圧弁よりも下流側に圧力検出ポイントを設け、そこから導圧用の外部配管を使用して圧力を検出する方式

パイロット式減圧弁の外部検出方式(減圧弁よりも下流側に圧力検出ポイントを設け、そこから導圧用の外部配管を使用して圧力を検出する方式)

多くの減圧弁は内部検出方式をとっています。その場合、減圧弁を設置するだけで他に何もすることはありません。TLVの減圧弁も内部検出が標準です。一部のパイロット式減圧弁では内部検出と外部検出のいずれかを選択できます。

外部検出方式では減圧弁を設置する際、二次側圧力を減圧弁へ伝えるための導圧配管を別途施工しなければなりません。また、減圧弁内部に設けられている内部検出用径路を塞ぐ必要があります。

 

外部検出のメリット

導圧配管を施工しなければならないというデメリットがあるにもかかわらず、施工が簡単な内部検出ではなく外部検出方式を採用するのはなぜしょうか。それは、次のような外部検出ならではのメリットがあるからです。

  • 外部検出方式は、一部の条件で内部検出方式よりも定格流量が増加
  • 二次側配管での圧力損失が大きく、かつ流量の変動幅が大きい場合、外部検出方式では蒸気使用装置における圧力の安定性が向上

 

外部検出で定格流量が増加する理由

外部検出で定格流量が増加する原因は、定格流量を決定している性能テストの方法にあります。定格流量とは、設定圧力よりもあらかじめ定めた偏差だけ圧力が下がった時の流量です。つまり、設定した二次側圧力が低下した時点の流量のため、圧力の変化を監視する圧力計は減圧弁二次側に設置します。

テストでは蒸気流量を徐々に増加させていき、上述の圧力計がある値を下回ったときの流量を定格流量と記録して終了します。このテスト自体に問題はありません。しかし、減圧弁へフィードバックされている圧力が、圧力計の設置箇所の圧力ではなく減圧弁内部の圧力であるという点に注意が必要です。つまり、圧力計で示される圧力と減圧弁が検知した圧力が異なっているということです。

圧力計の設置箇所の圧力と、減圧弁内部の圧力には差があります。圧力計は減圧弁から離れた箇所に設置されているため、その配管距離の分だけ配管摩擦抵抗等による圧力損失があり、圧力計の示す値は減圧弁内部の圧力よりも低く出ます。見方を変えると、減圧弁内部の圧力はそこまで下がっておらず、まだ余力があるとも言えます。この圧力の差をなくして、余力分まで最大限活用できるようにするのが外部検出方式です。

 

外部検出にすると流量増加が大きくなるケース

外部検出方式の採用による定格流量の増加分は、配管抵抗による圧力損失が大きい領域では大きくなります。逆に配管抵抗による圧力損失があまりない領域では、外部検出による圧力増加はほとんどありません。

外部検出にすると流量増加が大きくなるケース

内部検出方式から外部検出方式にした場合、次のようなことが言えます。

  • 一次圧力と二次圧力の差が大きい領域では流量の増加は大きい
  • 一次圧力と二次圧力の差が小さい領域では流量はあまり増加しない

選定した減圧弁サイズと希望する流量が合わない場合、外部検出方式にすることで希望の流量までカバーできる場合がありますので、そのようなときは仕様書を確認の上、検討してみてはいかがでしょうか。