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蒸気の基本

蒸気の種類と用途

 

蒸気の用途とは

蒸気とは、水に限らず物体が気体になった状態のことですので、世の中には様々な蒸気が存在しますが、しばしば蒸気=水蒸気の意味で使われます。

その水蒸気は、一定圧力の下で水が加熱され、沸騰、蒸発して気体になったもので、近年は工業分野だけでなく、家庭用のスチームオーブンやスチームクリーナーのように、その応用範囲が拡大しつつあります。

蒸気の用途は主に、加熱・加湿用途と動力用途に大別できます。
本稿では用途の面から蒸気の種類を整理してみます。

 

加熱・加湿用蒸気

正圧蒸気

最も一般的に工場で使用される蒸気です。熱交換器やスチーマーなどの加熱・加湿の目的で広く用いられ、通常0.1~5MPa、110~250℃程度です。

多くの場合、圧力と温度の関係が一定で使用しやすく、潜熱加熱による素早い加熱が可能であるため、飽和蒸気の状態で使用されます。食品加工などの分野では、「焼く・乾燥させる」ための熱源として過熱蒸気が使用されることがあります。特に大気圧力で200~800℃位に昇温させた常圧の過熱蒸気は扱い易く、新製品ラッシュの家庭用スチームオーブンに使用されているのも常圧の過熱蒸気です。

真空蒸気

大気圧力以下、100℃以下の蒸気で、従来は熱媒体として温水が用いられてきた温度域で使用され、近年急速に利用が拡大しています。

正圧蒸気と同じように飽和蒸気の状態で使用すれば、圧力の調整によって蒸気の温度を素早く変更できるので、温水では得られなかった緻密な温度コントロールが可能になります。もちろん減圧するだけでは大気圧以下にはなりませんので真空発生装置と組合わせて使用されます。

 

動力用蒸気

蒸気タービン等の動力用として用いられます。40年ほど前でしたら身近な例として蒸気機関車がありましたが、近年は動力としての蒸気を身近に見ることは少ないですね。しかし蒸気を動力として使用する技術は進歩を続けています。

蒸気タービンは火力発電所に欠かせない装置であり、高効率化の目的から、より一層蒸気の高圧・高温化が進んでいます。国内でも、25MPa・610℃の超臨界圧力の過熱蒸気をタービンに使用する火力発電所があります。蒸気タービンはドレン流入による機器損傷防止のため、湿り蒸気を嫌い、過熱状態で使用されることがほとんどですが、原子力発電所のタービンは機器に使用する材料の問題から蒸気温度をあまり高温にすることができず、高圧の飽和蒸気が使用されているそうです。

 

各種蒸気の分布

 

各種蒸気の分布

各種蒸気の名前をクリックすると、各種蒸気の代表的な用途がご覧いただけます。

 

各種蒸気の用途のイメージ

加熱・加湿用蒸気(飽和):シェルチューブ熱交換器

加熱・加湿用蒸気(飽和):シェルチューブ熱交換器

生産物の温度を上げるために使用された蒸気はドレンになってスチームトラップから排出されます。

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加熱・加湿用蒸気(過熱)

過熱蒸気は熱風による加熱に比べ、無酸素状態で加熱できる、加熱能力が高いなどの特長があり実用化へ向けた研究が進んでいます。

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常圧過熱蒸気:家庭用スチームオーブン

常圧過熱蒸気:家庭用スチームオーブン

水蒸気をさらに加熱して、100℃以上の高温状態にした常圧過熱蒸気は、熱を効率よく伝え、焼く能力が高い。また大気圧力なので扱いやすいのも特長です。

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真空蒸気(飽和):真空蒸気加熱システム(VM-H):パッケージタイプ

真空蒸気(飽和):真空蒸気加熱システム(VM-H):パッケージタイプ

温水加熱式に比べ、素早く設定温度に到達するスピーディーでムラのない均一な加熱がおこなえます。

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動力用蒸気:復水蒸気タービンローター

動力用蒸気:復水蒸気タービンローター

蒸気の運動エネルギーが羽根を回転させて、接続された発電機のローターを回転させ電気を発生します。

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飽和蒸気も過熱蒸気も液体の水が相変化して気体になったものに変わりは無いのですが、その性質はかなり異なります。また、水には蒸気とも水とも言えない臨界水というものもあります。これら蒸気そのものの性質の違いについては蒸気の状態による分類でご説明いたします。