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スチームトラップの基本

トラップ選定の手順 前編

 

スチームトラップ選定のステップ

皆さんは、どのような手順でスチームトラップの選定をしておられるでしょうか。数多くのスチームトラップが存在していますから、どれを選べばよいか戸惑われることもあるのではないでしょうか。  
今回はスチームトラップの選定手順の内、始め2つのステップについて説明いたします。

スチームトラップには多くの種類や材質、能力がありますが、正しい選定の手順は以下のステップです。

  • ステップ1 : 使用する用途に対して適合する機能のトラップを選ぶ。
  • ステップ2 : 使用する条件に対して適合する仕様のトラップを選ぶ。
  • ステップ3 : 発生するドレン量に対して適切な安全率でトラップの容量を選ぶ。
  • ステップ4 : その中から、ライフサイクルコスト(LCC)が最小になるトラップを選ぶ。

 

用途別トラップ選定の要領

スチームトラップが使用される用途は、大別すると次の3つに分かれます。この3つの用途区分は、それぞれにスチームトラップを設置する目的が異なるために区分されています。

蒸気輸送配管

蒸気輸送配管の役割は、良質な蒸気を安定して設備に供給することにあります。蒸気輸送配管の用途に適合するトラップでは、蒸気配管でウォーターハンマーを起さないということが最重要の目的となります。そのためには通常運転では、絶対にドレンを滞留させない機能のトラップを選定しておかなければなりません。

蒸気使用設備

蒸気使用設備は各工場で最も重要な生産を行うための設備ですから、その役割は生産性を最大にし、かつ高品質な製品を生産することにあります。短時間でスタートアップ出来ることや加熱ムラによる品質不具合を発生させないことが求められます。初期エアを迅速に排出するとともにドレンは連続的に排出できる機能を持ったトラップを選定することが必要となります。

スチームトレース

スチームトレースは通常の蒸気使用設備とは異なり、銅管が伝熱管として使用されることも多く、かつ加熱温度が100℃以下の場合もある特殊な用途です。銅管で発生する堆積物の影響を受けないこと、また100℃以下の低温加熱の場合には蒸気の顕熱(ドレンの持つ熱量)も利用できるものが望ましいと言えます。

用途必要要件主な製品
蒸気輸送配管
  • 省エネルギー型:蒸気ロスが少ない
  • 極少ドレン条件でもシール性を確保
  • 外気(風雨)の影響を受けない構造
  • 初期エアの排出
  • ドレン滞留の無い連続排出
蒸気輸送配管での主なスチームトラップ
蒸気使用設備
  • ドレン滞留の無い連続排出
  • ドレン量の変動に追従可能
  • 初期エアの排出
  • 背圧許容度が高い(差圧が小さくても排出可能)
  • 不良時にもドレンを滞留させない
蒸気使用設備での主なスチームトラップ
スチームトレース
  • 錆・スケールのクリーニング機能がある
  • 配管設置方向の制約を受けない
  • 省エネルギー型(顕熱の利用もできる)
  • 小型軽量
スチームトレースでの主なスチームトラップ

 

使用条件とトラップの仕様

実際にスチームトラップが設置される場所の使用条件と適合するトラップの仕様について説明します。

使用条件とトラップの仕様

本体材質

スチームトラップの仕様で最初に確認しなければならないのは、スチームトラップの本体材質です。トラップ本体の材質は、スチームトラップの設置箇所の設計圧力や温度、周囲の環境、長期的なメンテナンス性等を考慮して決定されます。トラップ本体・蓋等の耐圧部品に使用される材質は、一般のバルブ類に要求される材質と差異はなく、代表的な材質は下記のようなものがあります。

  • 鋳鉄材(FC系等)、ダクタイル鋳鉄材(FCD系)
  • 炭素鋼系の鋳鋼(SCPH2等)、鍛鋼(ASTM A105等)
  • ステンレス系の鋳鉄(SCS13A等)、鍛鋼(SUSF304等)

スチームトラップの材質は「材質」で詳しくご説明しています。

スチームトラップとしての最高使用圧力および最高使用温度は、上記の各材料の使用可能圧力、温度とは必ずしも一致しないことに注意が必要です。つまり、スチームトラップ本体以外の構成部品、例えばガスケットやゴム製のOリングなどによってトラップの最高使用圧力や温度が制限される場合があります。

また、材料にはJIS規格材とASME規格材が一般的ですが、使用される国によって、適用される規格に応じて圧力と温度の制限がありますから、海外向けについては適応規格をしっかり確認する必要があります。例えば、ヨーロッパで適応されているDINの2401規格の場合は、FC系の材料は1.3MPaG、200℃までの制限があります。また、最近はメンテナンス性や耐久性を重視されるお客様は、本体材質としてステンレス製を希望されるケースが多くなっています。

接続口径

トラップの仕様として必要なのは接続口径で、多くのお客様は単に既設の配管サイズに合わせてトラップの口径を決定されていますが、本来トラップの接続口径は、蒸気設備のドレン発生量に基づいて設計された蒸気設備のドレン出口配管のサイズに合わせるのが正しい決め方です。

蒸気設備のドレン出口配管サイズは、一般的には、下記の表を目安として決定されます。

最大ドレン量装置のドレン出口配管サイズ
200kg/h未満15mm
200kg/h以上~500kg/h未満20mm
500kg/h以上~1th/h未満25mm
1th/h以上~2th/h未満32mm
2th/h以上~3th/h未満40mm
3th/h以上~5th/h未満50mm
5th/h以上65~100mm

従って、トラップの接続口径はこの配管サイズに合わせて選定します。蒸気設備の出口配管サイズよりも小さな接続口径のトラップを選定するとドレンを滞留させることになりますので、決して小さい口径を選定してはなりません。

また、トラップの出口配管、つまりドレンの集合配管のサイズ決定は、配管内で再蒸発が伴うこともありますから、それを考慮して適正流速、適正圧損になるようにニ相流の配管設計が行なわれます。二相流は「ドレン回収配管の設計」で詳しくご説明しています。

接続方式

次にトラップの接続方式ですが、お客様からのご要望に応えられるように、殆どのトラップは、ねじ込み接続とフランジ接続が用意されていますが、本体材質によっては溶接接続も準備されているものがあります。

ねじ込み接続は低コストですが、配管をねじ込んで接続しますので、製品交換の際には配管から外すために出口側をフリーにしたり、あらかじめユニオンを配管に組み込んだりの対策が必要となります。

フランジ接続では、同一の面間・サイズのものとの交換であれば配管からの取り外し、設置ともに非常に簡単に済みます。

溶接接続は取付も交換も困難ですが、漏れに対する信頼性は最も高いため、高圧配管でなおかつ信頼性を要求されるような箇所で使用されます。

接続方式

残りのステップ3のトラップ選定時の安全率、ステップ4のトラップのライフサイクルコストについては「トラップの選定の手順 後編」で説明しています。