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逆止弁 後編

 

逆止弁の種類

逆止弁 前編では、流体の逆流を防止する逆止弁の機能や用途など基本的な事項についてご説明しました。今回は一般的によく使用される逆止弁の種類とその特徴について見てみます。

逆止弁は流れによって自動的に開閉弁しなければならないため、バルブの一種とはいえ、手動弁とは異なる構造のものが多いようです。

蒸気用に限定しなければ、バタフライ弁を二つ折りにしたような構造のものやバイパス回路を内蔵したものなど、多種多様な逆止弁が存在しますが、ここでは蒸気系統でよく使用される、スイング、リフト、ディスクの3つのタイプに絞って説明します。

 

スイング式逆止弁

概要
  • このタイプの流路は直線で、円盤状の弁体がヒンジを支点とするレバーに取り付けられているか、ヒンジ機構と一体化された弁体を内蔵しています。
作動
  • 弁体はヒンジを支点に、ドアのような約90度の回転動作(スイング)で開閉します。

スイング式逆止弁の作動

特徴
  • 基本的にフルポート弁な上、全開時には弁体のほぼ全体が流路から外れた位置にくるため、全開時の圧力損失は小さめです。
  • 弁体が重いものは最低開弁圧力差及びクラッキング圧力が大きめです。軽量な弁体を使用することで、最低開弁圧力差及びクラッキング圧力を小さくすることができます。
  • 一方、ヒンジの軸で回転する構造のため、軸及び軸受け側の摩耗によりシール性能や開閉作動の円滑性が低下しやすく注意が必要です。
  • また、全閉位置から全開位置までの弁体の回転角度が大きいため、流れ方向の変化に敏感に対応しにくい、弁体が重いと急閉弁時の衝撃が大きくなるという難点もあります。
取付
  • 水平配管及び、下から上に流れる垂直配管で使用可能です。

スイング式逆止弁の取り付け方向

 

リフト式逆止弁

概要
  • 流路がS字状になる玉形弁構造です。手動玉形弁から弁軸・ヨーク・ハンドルを取り去ったような構造で、実際に玉形弁と共通部品を使用する製品も多いようです。
作動
  • 弁体が配管と垂直の方向に平行移動して開閉弁します。

リフト式逆止弁の作動

特徴
  • 全開時、弁体は流路から外れた位置にきますが、流路自体がS字状のため圧力損失が大きめです。弁体の質量が大きいため最低開弁圧力差及びクラッキング圧力も大きめです。
取付
  • 水平配管取り付けに限定されます。

リスト式逆止弁の取り付け方向

 

ディスク式逆止弁

概要
  • 流路は直線です。弁体は円盤状で他の部品と結合されていません。ばねを併用して閉弁を付勢する製品が主流です。
作動
  • 弁体が配管と同軸上を平行移動して開閉弁します。

ディスク式逆止弁の作動

特徴
  • 流路内に弁体や付帯部品が残るため全開時の圧力損失が大きめです。弁体が軽量で配管と同軸上を平行移動する開閉弁動作のため、最低開弁圧力差及びクラッキング圧力は小さめです。
  • 全開-全閉のストロークが短く流れ方向の変化に敏感に対応します。
取付
  • 水平配管、垂直配管のいずれにも取り付け可能です。垂直配管では上から下の流れ、下から上の流れいずれでも使用可能です。

ディスク式逆止弁の取り付け方向

 

逆止弁使用時の注意点

逆止弁を設置し使用する際には、特に以下の点に注意する必要があります。

取り付け姿勢

垂直配管への取り付け不可、垂直配管への取り付け可能でも上から下の流れは不可など、取り付け姿勢に制限があるタイプもあります。

例えば垂直配管で上から下向きの流れで設置した場合に、自重で弁が開いてしまうタイプはその姿勢では使うことができません。

逆止弁使用時の注意点:取り付け姿勢

チャタリング

逆止弁は圧力差によって開閉するため、圧力変動が頻繁に起きている場所に設置すると、短いサイクルで開閉を繰り返してしまうチャタリングが発生することがあります。

弁体が軽量で、全閉から全開までの弁の可動距離が短い構造の逆止弁では、その発生リスクが高まります。

チャタリングが発生すると、弁と弁座が衝撃を伴なって接触し、シート部の摩耗が進行します。更に、開閉を頻繁に繰り返すことで摺動部や回転部の摩耗も進行し、寿命が大幅に短くなります。

逆止弁使用時の注意点:チャタリング

締め切り時の弁漏れ

逆止弁は自動的に逆流を防止してくれる便利なバルブですが、その締め切り性能は締め切りを目的とした他のバルブに比べ、優れているとは言えません。

少しの漏れも許容できないような用途には、逆止弁だけでは不十分かもしれません。その場合は、締め切り弁などを組み合わせることも必要です。

逆止弁の設置の仕方については、 逆止弁の設置と効果でご説明しています。