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スチームトラップの使い方

温調トラップの注意点

 

トラップなのに温調?

温調トラップという名のちょっと変わったスチームトラップがあります。
この温調トラップの最大の特長は、「排出するドレンの温度を設定できる」ことです。トラップ手前にドレンを滞留させることにより、60℃や80℃といった、元の蒸気の温度に比べてかなり低い温度のドレンを排出する事ができます。

 

温調トラップの目的とは?

「本来トラップとは、発生したドレンを速やかに排除するための機器のはずでは・・・?」この疑問は、温調トラップが開発された経緯を知ると解決できるかもしれません。

温調トラップは重油などの高粘性流体を輸送する際に、温度低下により輸送流体が凝固してしまうことを防ぐ目的のトレース用として開発されました。

重油の温度維持には蒸気の熱が利用されます。重油の場合、輸送のためには40℃程度の温度があれば十分なのですが、蒸気の温度は100℃以上あります。
従って、蒸気をそのまま熱源として使用した場合に重油の温度が上がりすぎる可能性がありますが、温調トラップを使用してトレース伝熱管の温度を下げてやれば、重油の温度が上がりすぎるのを防げるのです。

 

温調弁の代わりになるか?

蒸気を使用して加熱を行う際に、温調弁や制御弁を使用することがありますが、温調トラップはそれらの代わりになるのでしょうか?

温調弁や制御弁を使用して温度制御を行う場合と比べたときに、決定的に違う点があります。温調弁や制御弁が被加熱物の温度を基準にしているのに対し、温調トラップはトラップ内部の温度が基準になっていることです。そのため、一般的な加熱においては温調トラップは温調弁や制御弁の代わりにはなり得ません(詳しくは次稿で述べたいと思います)。

 

使用上の注意点

重油など高粘性流体のトレース以外には計装機器の凍結防止用トレースという用途もあります。いずれにしてもトレース自体があまり一般的な用途ではなく、温調トラップは用途を限定した特殊なスチームトラップと言えます。
被加熱物温度の上がりすぎを防ぐためにあえてドレンを滞留させるスチームトラップなのです。

高粘性流体の流動性を良くする

高粘性流体の流動性を良くする

計装機器の凍結防止

計装機器の凍結防止

トレース用途を除けばドレンを滞留させた方が良い蒸気の使用場所は基本的にありません。蒸気輸送管もドレンは大敵です。当社では、「顕熱を利用する用途には温調トラップの使用が可能」、「潜熱を利用する用途および蒸気輸送管には温調トラップは使用不可」と明確に区別をしています。