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蒸気のトラブル

ウォーターハンマー4(装置の対策)

 

装置のウォーターハンマー対策

ウォーターハンマーは装置内でも発生します。この場合も、高水位の滞留ドレンが原因ですが、定常運転でも発生するところが蒸気輸送管と異なります。

ドレンの水位が高い状態で、蒸気が供給されると急凝縮のウォーターハンマーが発生します。但し、蒸気輸送管のような激しい衝撃ではなく、小規模な衝撃が一時的に発生するケースがほとんどです。

小規模ウォーターハンマーは、長い年月を経て突然装置を破損させます。破損するのは、圧力の高い=負荷の高い=フル操業の場合が多いので、速やかにドレン排除を行うことが予防保全の観点から重要です。

例:シェルアンドチューブ熱交換器内で発生するウォーターハンマー

例えばシェルアンドチューブ熱交換器では、被加熱物量の減少や被加熱物温度の上昇等で装置の負荷が減少すると、トラップ前後の差圧がなくなり、シェル内部にドレンが滞留します。これをストール現象と言います。また、装置が停止すると背圧次第ではシェル内が満水になる場合もあります。ストール現象についてはストール現象 前編(発生原因と問題) でも取り上げています。

シェルアンドチューブ熱交換器のウォーターハンマー

装置内部にドレンが滞留する原因は、前述のストール現象以外に、熱交換器構造上の問題、バランスライン(均圧管)の問題、トラップや配管の設置状態、ドレン回収の配管状態によっても異なります。それぞれの原因を見極めて、症状に応じた処置が必要です。

 

装置内部にドレンが滞留する理由

蒸気輸送管と同じく、装置においてもドレンは速やかに排除すべき対象ですから、装置のウォーターハンマー対策でも、ドレンをいかにスムーズに遅れなく排除できるかが重要です。

装置の蒸気室内にドレンが滞留する理由として、以下が挙げられます。

装置の構造や設置上の問題でスチームトラップへドレンが流入しにくい場合

装置の構造や設置上の問題でスチームトラップへドレンが流入しにくい場合

ストール現象が発生している場合

ストール現象が発生している場合

上記のような対策は簡単に思えますが、実際にはこの通りにできないこともあります。

 

装置の構造上ドレンが滞留しやすいケース

例えば、3万キロリットル級重油タンクのボトムヒーターでは、内部ヒーターの長さが分割しても1本100mを超えます。ヒーターの入口・出口の段差次第では勾配は1/300~1/400になりますが、これは一般的な蒸気配管勾配(1/100~1/200)の半分以下にすぎません。このような勾配では、ドレンが自然流下できない場合があります。

ドレン対策が困難なケース

このように構造的に流下勾配が取れない装置では、完全な対策を講じることができない場合があります。

また、一般的なヒーターでは、最大加熱能力に対して負荷が極端に小さくなると、ストール現象が発生します。ストール現象はスチームトラップの作動圧力差が十分に確保できなくなる状態で、ドレンを自然排出することができません。

この場合は、ドレンを蒸気で圧送・排除するパワートラップや真空ドレン回収ポンプが対策として有効です。

短編動画で学ぶ!蒸気のことならTLV動画

短編動画でもウォーターハンマーについて分かり易く解説しています。